イラレの2色刷り原稿(スミ+カラー1色)を印刷近似色で作って提出時にシアンへ置換したい
ありがたいことにこれまで何冊も本を書かせていただいてきて、挿絵も1冊目から自分でイラレで作成しています。ただ、お恥ずかしいことにこれまで「なんとなく」で作ってきてしまっていたので、ちゃんと原稿のしくみを教えてもらって自分なりの方法を考えたので記録しておきます。
はじめに
本記事の内容では、カラーパターンをたくさん作って、A色→A’色、B色→B’色…、のように指定して置き換える方法をとっているので、グラデーションやK(スミ)との掛け合わせの色置換はできません。現状、自分の作業としてグラデやKとの掛け合わせ部分は少ないので、その部分は手作業で修正かな~という感じです。
この記事を執筆した時点の環境はIllustratorCC2021/Win10です。
もっとスマートな方法で続きの記事を書きました
コメントでaisaさんに教えていただいて、グローバルカラー使ったほうが簡単だな!? と気が付いたので、別記事にまとめました。
以下、まわりくどい方法ですがこんなやりかたもあるんだな~と、何かの足しになるかもしれないので残しておきます!
背景
私が書かせてもらっている本は、K(スミ)とカラー1色の2色刷りです。初めて原稿を出すとき、「スミとシアンの2色で」と言われたので、「シアンってたしか明るい水色みたいな色だったよな」といううっすい知識に基づきなんとなくの色で原稿を作り、そのまま何も言われず受理されたのでOKだったのかなと思っていました。そして、実際の本になったら、明るい水色で作った部分は、紫がかった深めの青色で印刷されていました。
私はこの結果にだいぶ驚き、おお、シアンというのは印刷するとこんなに色が変わるのかと思いました。違いますよね。違うんですが、このときはそう思い込んでしまったんです。
あとになって聞いた正解は、原稿全体の色成分をCMYK分解して、KとC(シアン)の版をそれぞれ作り、K版はスミ(黒)で、C版はDICカラーと呼ばれる特色のインクで刷られるとのことなんです!(少なくとも私が本を出させてもらっている会社ではそういう方法だそうです)
つまりC(シアン)の版は、データ上では明るい水色だけど、全然違う色になるのだと。次に出す本は、印刷はオレンジ系のDICカラーにするって言われています。ほんとにぜんぜん違う色ですね!?!? ちなみに、M(マゼンタ)からでも版は作れるとのことなので、原稿は「K+C」または「K+M」の2色で作るけれど、印刷される色はまったく違うということになります。
しかし当時はそんなことを全く知らず、提出データと刷り上がりのギャップにビビりました。あと色に濃淡を持たせていいこともよくわかってなかった。このあともしばらく作り方を迷走してたのですが、本当に遅ればせながら、このたび改めて原稿データと印刷のことを教えてもらい、ちゃんと理解しました! カラー部分は全然違う色になる!!
作るときはK+DICカラー、提出はK+C(またはK+M)にしたい
……と、言ったはいいものの、作るときは実際に刷られる色と似た色で作りたいよ~!! シアンじゃ現実と違いすぎてイメージしにくいよ~~!!! と、思うのです。理想は、K色はそのままで、C色をDICカラー(近似色)で作りたい! 作ったあと、最後にDICカラーだけCへ置換したい!!!!
この悩みを解決すべく四苦八苦し、どうにか自分好みの置換方法を見つけました! DIC→Cだけじゃなく、逆もできるし別のDIC配色にもかんたんに変えられるようになりました~! 嬉しい!! というわけでその方法を未来の自分のためにも記録しておきます。安定の前置きの長さ。
基本色のカラーグループを作る
まずは提出用の色を並べます。ここではKとC、もしかして今後Mも使うかもしれないのでそれも。私の場合は100%, 70%, 50%, 30%, 15%の5種類作りました。ここはお好みでいいと思いますが、この各色の濃度と数に対応したもので置換するので、1つ決めたらほかもそれと同じように作っておきます。印刷に出力するには最低15%以上でと教わったので、MIN値は15%にしました。
そして、この色を元にスウォッチ内にカラーグループを作ります。Kの0%(White)も作っておくとラク。
DICのカラーグループを作る
今度はDICカラーで同じ要領のものを作ります。ウィンドウ→スウォッチライブラリ→カラーブック からDICカラーガイドが出せます。私の本でよく使われているのは、「紫がかった深めの青色」なのでたぶんDIC185あたりなんじゃないかな~~と!
選んだDICカラーを100%として、コピーしたものを70%, 50%,… と段階的に透明度を下げて、先に作ったカラーグループと同じ濃度と数で作っていきます。透明度を設定したものは、オブジェクト→透明部分を分割・統合をして不透明なオブジェクトに変換します。DIC243とDIC081も作りました。これで濃淡の違うDICの近似値色ができあがります。
これらの色もスウォッチ内にカラーグループとして登録します。このカラーグループは置換を行いたいドキュメントのスウォッチに入っている必要があるので、スウォッチライブラリに保存して読み込んだりコピペで使ったりすればいいと思います。
K+DICカラーで原稿を作る
このカラーグループの中から、Kとどれか1つのDICカラーのグループの色だけ使って原稿を作ります。このとき、枠外にどこでもいいので、使うDICカラーグループのすべての色のオブジェクトを置いておきます。最初に作った色見本ドキュメントから、該当のDICカラーだけコピペしてきてもOKです。
これは、あとで再配色を行う際、置換後のカラーグループと数が同じでないとうまくいかないからです。原稿内ですべての%種類を使うとは限らないし、ここに置いておけば、置換後にちゃんと意図通りに色が変わったかの確認にもなります。
再配色
ではやってみましょう。Ctrl+Aですべてのオブジェクトを選択して、スウォッチから置換したいカラーグループのフォルダ部分をダブルクリックします。
「オブジェクトを再配色」ウィンドウが開くので、プリセットの「配色オプション」を開いて下図のように設定します。「ブラック」「グレー」を保持しておけばK色は変化なく、DICカラー部分だけ置換できます。置換前の色がCやMの場合、デフォルトの「色相-正方向」だと濃度順に並ばないので、注意が必要です。
設定すると、このようになります。置換前と置換後が同じ濃度で並んでるかチェック。置換後の色は右側のカラーグループで変更できます。問題なければ「OK」を押せば、
できた~~!!! 線や塗りもちゃんと変わります!!
スウォッチのカラーグループに登録さえしてあれば、MやほかのDICカラーにも!
という、私の試行錯誤でした。冒頭にも書きましたがグローバルカラーという便利なものがあるので、そちらもぜひどうぞ!
4件のコメント
初めまして。
いつも楽しく拝読させていただいています。
私も詳しくないので的外れかも知れませんが、
変更後のカラー(今回はDICカラー)のオブジェクトを一つ作れば、
全て選択→編集→カラーを編集→再配色→プリセットで再配色→カラーライブラリ
で、DICカラーをドラッグドロップすれば
不透明度も保持してくれ、線塗関係なしなので、いけると思うのですがどうでしょうか?
そもそもの最初のときに、KとDICカラーで原稿を作ればいいのでは?
と無知な私は単純に思ったのですが、シアンなんですね。
何か意図があるんでしょうか?
もしお分かりになりましたらご教授頂けると幸いです!
aisaさん、コメント&読んでいただいてありがとうございます!
えっ、そんな簡単に!? と思ってやってみたら、、でででできました…! ウワーッ恥ずかしい! DICカラーをスウォッチ登録するときにCMYKカラーへ変換していたみたいで気が付きませんでした…! Tという0~100%で表現できるモードがあるんですね!! 教えていただいてありがとうございます!
私も最初、印刷したい色で原稿を作るのではと思っていたのですが、2色刷りはフルカラーと考え方が違うようなんです。提出するデータは版を作るためのものなのでCMYKいずれかの色のみになっているのが都合が良くて、作成した版を使って全く違うインク(DICカラー)で印刷するものらしいのです。↓こちらが参考になりました。
今度は教えていただいた方法で試してみますね。ありがとうございました!
スウォッチをあんまり使ってこなかったので、詳しくないんですが、できたようで安心しました!
こちらの質問に、リンクまで付けて頂いて、
詳しくありがとうございます!
なるほど、とってもわかりやすかったです。
*youさんのブログは、Excelマクロの検索からたどり着きました。
これからも更新楽しみにしています^^
こちらこそ、ありがとうございます! マクロから来ていただいたなんて~! 雑多なブログですがそんな嬉しいお言葉を頂戴して光栄です!!(*´∀`*)
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