Photoshopでグレー部分をスクリーントーン化するアクションを作る

Photoshopでグレー部分をスクリーントーン化するアクションを作る

モノクロで印刷する用のデータ作成で、グレーの濃度をトーンで表すのをやってみようと思ったらめちゃめちゃ奥の深い世界だった…。ちょびっと修正しては変換、というのが超絶めんどくさかったのでアクション化した流れのメモです。


追記: スクリプト版も作りました

この記事で紹介しているのはアクションを作成する手順ですが、同じ作業をまるっとスクリプト化したものも作りましたので、そちらのほうが使い勝手が良いのではと思います。

濃度(%)線数(L)の組み合わせで見た目が全然違う

まずはグレースケールでこんな画像があったとして。濃度の違うグレーに、乗算レイヤーで影を付けた場合はどんな見た目になるかなと思って作ったサンプルです。この画像で濃度(%)はいろんなパターンができていますが、トーン化するときに線数(L)というのを指定する必要があります。

こちらは20Lと40Lで指定したものを実際に印刷して撮影したものです。ブラウザで見ると画像の縮小率などで正確な大きさには見えないかもしれませんが、ざっくりいうと、トーン化された際のドットが、線数(L)の小さいほうが粗く大きいほうが細かく表現されます。

これがなかなかに悩ましくて、場所によってドットの粗さ変えたいなーとか思うと、微調整→トーン化→確認のループで、なかなか面倒です。そこで、トーン化する工程をアクションに登録してしまうと便利だったので方法を書き残しておきます。

トーン化の手順はこちらのサイトを参考にさせていただいております。ありがとうございます!

なお、ここより先のキャプチャは

  • モード:グレースケール
  • 解像度:600pixel/inch
  • トーン化したいpsdファイルが1つだけ開いている状態

を前提としてます。使用フォトショはこの記事を書いた時点で CC2018 です。

1つのファイル内でトーン化

準備

まず、psdファイルにこのような画像があるとします。グラデーションもトーンで再現できるので入れてみました。

同じ線数でトーン化したいものをグループでひとまとめにしておきます。私の場合、濃度によってレイヤーを分けています(後で修正が楽なので)。

「アクション」パネルを開きます。このままアクション登録もできますが、区別のために新規セット(フォルダー)を作っておきましょう。

セットの名称は任意のもので構いません。

ここからアクションの登録に入ります。アクションは「現在選択しているレイヤーが対象」となるので、トーン化したいレイヤーまたはグループを選択してから登録を始めます。

アクション登録

さて、では「アクション」パネルへ戻って、さきほど作成したセットを選択し、右下の「新規アクション作成」のアイコンをクリックします。

登録するアクションの名称を入力します。今回は例として60L用のトーン化アクションを作成するものとしてこんな名前にしておきます。

名称が決定すると、登録中のマークがアクティブなります。ここから行う作業が登録されます。

「レイヤー」パネルへ戻って、トーン化したいグループを選択し、右クリックから「グループを複製」をクリックします。

複製先のドキュメントを「新規」にして、名称を「tmp」にしておきます。

複製されたグループが新規ドキュメントで開きました。

この新規ドキュメントを上図のように「モノクロ2階調」にします。

「統合しますか?」は「はい」で。

元のドキュメントと同じ解像度で、「ハーフトーンスクリーン」を選択します。

ここで線数を設定します。他の線数でアクション化したい場合は、ここの数値を変えればOKです。

トーン化されました。ブラウザ上で2階調の画像を見るとギザギザしているように感じますが、印刷すると綺麗に出ます。

このドキュメントを選択して、

コピーします。(このあたりはキーボードのショートカット使ってもちゃんと登録されます)

元のドキュメントに戻ります。

ここで、ペースト。トーン化されたレイヤーがこちらのドキュメントに貼り付けられます。

貼り付けられた名称を適当なものに変えておきましょう。

トーン化するときに使った一時的なドキュメントへ移動して、こちらも要らないので閉じます。このあたり、間違って別のファイルを操作してしまうと困るので、最初にひとつだけ開いておくというルールにしておきました。

変換のための一時ファイルなので保存しないで閉じちゃいます。

だいたいこれで良いのですが、せっかくのアクション登録なのでもう一息。2階調化したレイヤーは透過部分がなくなっているので、「乗算」レイヤーにします。

もし「このアクションを実行するとき、変換元のグループ名またはレイヤー名が必ず固定の名前」である場合、変換元を非表示にするとらくちんです。固定でない場合は「そのグループ(レイヤー)見つかりませんよ」とエラーになっちゃうので、この工程はスルーしてください。

これで終了です!

「アクション」パネルで「■」ボタンをクリックして登録を終了します。

開いているアクションを閉じれば、できあがり!

動かしてみる

では最初の状態に戻して、

「アクション」パネルの該当アクションを選択して「実行」ボタンをクリックすると、

あっという間にこの通り。べんりー! アクション登録時はグループで作成しましたが、対象がレイヤーでも動作します。

線数ごとにアクションを作っておくとさらに便利です。

複数のファイルを一括処理

フォルダ内バッチ処理で可能

さて、これでだいぶ便利になったのですが、同じ構造のpsdファイルがたくさんあって、こんなふうにフォルダー内すべてに自動で適用できたらなーなんて思うこともありました。

実際、これをやろうとすると、

  • 対象の名前のグループが必ず存在していること
  • 対象のグループが非表示になっていないこと
  • 対象のグループ名と重複する名称のものが存在しないこと

などなど、けっこう条件がシビアなんですけれど。このへんのルールがきっちり守れているのを前提とすると、以下のような方法で実現できます。

アクション登録

任意のセットを選択して新規アクションを作成します。このとき、何も開いていないところがポイントです。

アクション名は適宜わかりやすいもので。

登録が開始されました。

今回は「ファイルを開く」ところからアクションに含めます。

任意のフォルダーの任意のファイルを1つ開きます。どれでもいいです。

ファイルが開きました。ここに、対象のグループ名のものがちゃんとないといけません。

ここから、さっきと同じ手順でトーン化するのですが、アクション登録中でも別のアクションを実行することもできます。アクション in アクション。これでトーン化できました。

そしたら、ファイルを保存して、

閉じる。ここまで登録します。

これで「アクション」パネルで「■」ボタンをクリックして登録を終了します。

動かしてみる

一括処理をしたい場合は、「バッチ」を使います。

セットとアクション、対象のフォルダーを指定することによって、フォルダー内のファイルすべてにアクションが適用されます。これを実行すると、ファイルを1つずつ、「開く、処理、保存、閉じる」を繰り返し実行されるのが見えます。

ただし、グループが存在していなかったり予期せぬエラーで止まることもありますのでご注意を!

公開日:2018/09/25

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