健全な愛社精神までも社畜というカテゴリに入れちゃいけないと思うんだ

健全な愛社精神までも社畜というカテゴリに入れちゃいけないと思うんだ

不景気と言われて久しいですが、どんな過酷な待遇にも不満を言わずに働く人をネットスラングで「社蓄」と呼ぶそうです。それが高じてか、ちょっとでも会社側を庇護する意見には「はいはい社蓄さんお疲れー」みたいな風潮、ないですか。そうは言っても、会社に愛情を持たずに仕事のモチベーションは保てないと思うのです。


会社って対等な存在?

まずは前提を。会社側が、最低限の保証と法律を守っているという条件で話を進めます。この場合、私の個人的意見としては、自分と会社は対等ではないと思っています。

会社って、資金を用意して、お仕事のネットワークをつくって、税金とか保険とか難しいことを全部やって、私たちに仕事を提供してくれているわけですよ。国内外の情勢にも気を配りながら舵をとっていかなければならないし、経営って、ものすごく大変なことだと思います。私たちは、その用意してもらった場所で決まった時間働いていれば、毎月一定以上のお給料が保証されてるんですよ。危ない橋は経営陣に任せて、自分は雇ってもらってる側だから、どう考えても立場は下、ですよね?

※会社側が最低限の保証や法律を著しく違反している、そもそも守る気がない場合は、俗に言う「ブラック企業」と呼ばれるのだと思います。これはまたちょっと違うお話なので置いておきます。

ワンピースで例えるなら、経営側が船長で、社員はクルーですよね。ウソップが一度離脱して戻ってくる時の、ゾロが「船長が一番偉い」という立場に筋を通そうとしてるシーンには、とても痺れました。

私が最近感じるのは、この不況の中、会社側がかなりの企業努力によって社員を守ろうとしてくれているのに、そのことには全く目を向けず、「ブラック企業」や「社畜」という流行語(?)に乗っかって、ここぞとばかりに不満を言っている人がいるんじゃないかなぁということです。

そういった人は、会社を自分と対等な存在と捉え、妙に「権利」を主張したがるように思えます。でも、権利には義務が伴うと思うのですが、果たして、権利を主張できるほどに、義務をきちんと果たせているんでしょうか?自分が安心して座っているこの場所は、会社が用意してくれたものということも忘れて、会社側の状況や努力を全く理解しようともしないで、不平不満ばかりを口にしていないでしょうか?

※この時点で私の考え方が社畜のそれだということであれば、しょうがないですけどw

会社に愛情を持ってる?

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愛情というのは…相手側を思いやる気持ちという意味で良いと思います。相手を思いやる気持ちを持たずに、ただただ、守ってもらって当然!給料払ってもらって当然!みたいなスタンスだと、不満は増えるばかりな気がします。

相手の立場になって考えてみると、実は、自分たちを守ろうとしてくれていることが想像以上にたくさんあるということに気がついたり。すると、自分の思っていた不満が、ただ単に身勝手なわがままだった、なんてことになるかも。視野が広がると、不満って不思議と減ったりするんですよね。

「盲目」の項目は、それが愛情の深さなのか、洗脳なのか諦めなのかいろいろありそうですが、健全でないことは間違いなさそうです。

会社って家庭とよく似てる

さて、ちょっと話は変わりますが、私が就職活動をしていたとき、大学で催された説明会で、合同ガイダンスは合コン、面接はお見合いだと思えっていうお話がありました。これがとても面白くて、考えれば考えるほど、私はよく似ていると思うんです。合コン(合同ガイダンス)、お見合い(面接)、結婚(入社)、結婚生活(勤続)みたいな。

さてここで、さっきの図を夫婦で表現してみます。会社=夫で、社員=専業主婦の妻という設定です。妻は夫の収入で生活させてもらい、家事全般を「仕事」として請け負っている。そういう図式で繰り広げた妄想がこちらです。

愛情不足編

夫「なぁ…実は、今期、ボーナス出ないみたいなんだ」
妻「は!?無理無理無理無理!意味わかんない!もらえないなんておかしいじゃない!」
夫「しょうがないだろ、経営環境が…」
妻「結婚しておいて給料減るなんて詐欺よ!最低!」
夫「いや給料は出てるだろ、ボーナスは義務じゃ…」
妻「言い訳なんか聞きたくない!もうご飯つくらないからね!あなたなんかと結婚して失敗したわ!ダサいし足も臭いしホント最低!」

分かりやすいようにちょっと過剰な感じで書きましたが、夫(会社)側のマイナス意見だけを捉えて原因や背景を聞かない。そして仕事放棄。挙句には論点のズレた愚痴までぶつける。

もうちょっと愛情があったら、落ち着いて聞いてあげることもできるんじゃないでしょうか。ダサいと思うなら服を選んであげればいいし、足が臭いならネットで対策調べて良くなるように協力してあげればいいじゃない。今まで以上に家事(自分の仕事)に力を入れれば、夫のモチベーションもあがって業績も良くなるかもしれない。この人を選んで結婚したんだから、もうちょっと支えてあげてもいいんじゃないか…?と思いませんか。

そんなに不満ばかりで毎日イライラしてるなら、いっそのこと離婚して、もっと高収入で条件の良い男性と再婚(=再就職)すればいいですよね。もしくは、もう夫に頼らず、自分が働く(=起業する)とか。でも、そこまでする気はないし、とりあえず衣食住には困らないから、文句を言いながらも暮らしていくんですよね。

良いバランス編

夫「なぁ…実は、今期、ボーナス出ないみたいなんだ」
妻「え、そうなの!?…やっぱり、不景気だから?」
夫「そうなんだ、経営環境が…(略)」
妻「そっか、キツイけど、しょうがないね。私もパートとかしようか?」
夫「お願いするかもしれない。ごめんな。」
妻「ううん、わたしだってできるだけのことはしなくちゃ。じゃあ、ご飯にしよっか」
夫「ありがとう。来期は利益出せるようにがんばるよ!」

ボーナス1回出ないくらいでどれだけ困窮してるんだよという突っ込みもありますが、夫から提示されたことに対して原因・背景を聞き、納得した上で協力する姿勢を表明する、という形で書いてみました。

ここでは妻からは不満は出ていませんが、きっと日常生活で夫に対する小さな不満はたくさんあるはずです。あんまり家事の手伝いをしてくれないとか、ちょっと面倒臭がり屋だとか。でも、毎日お仕事頑張って、自分を養ってくれていることを分かっているので、不満を夫にぶつけようという気にはならないのです。

そもそも、不満が全くない状況なんてあるはずがないんです。同じ家庭(敷地内)で生活(仕事)していても、夫(経営)と妻(現場)では仕事のジャンルが違いますよね。100%理解してくれるはずがないし、逆もできません。できないことが当たり前なんだから、お互いが協力する姿勢を確認し合うことこそが、大事だと思うんです。

相手が自分のことを考えてくれている、愛情を感じることができると、身勝手な不満(わがまま)は、意外と収まっちゃったりするものです。

盲目編

夫「あ、今度からお前に渡す生活費削るから」
妻「え?そんな、これ以上…でも、がんばらなくちゃ…」
妻「世の中にはもっと大変な人、たくさんいるはずだし…」
妻「それに、私がいなくなったら、この人、生きていけない気がするし…」
妻「横暴だし暴力も振るうけど、やさしいときだってきっと…」
夫「お前、パート増やせよ」
妻「わかりました…。」

いくら尽くしたって、夫からの愛情が感じられない。でも、いまさら抜け出せない。我慢することが美徳になっている。こういう場合こそ、自分の状況を客観的に考えて、「ここはヤバイ」と自覚しないとどんどん悪い方向へ行ってしまうのかもしれません。

また、自覚があってもなかなか抜け出せないものなのだと思います。こういう状況が、社会現象になって問題視されていることなんだろうな…。

家庭も、会社も、愛情表現が大事

妄想劇場、いかがでしたでしょうか。私は平の一般社員なので、中間管理職などの方は、また違った形になってしまうのかもしれません。

自分の所属している会社を「ブラックだ」と言ってしまうのは簡単です。心底そう思っていなくても、不満は尽きないものですから、ちょっとした軽口で言ってしまう場合もあるかもしれませんね。でも、不満が溜まって辛いのであれば、是非一度、会社と自分の関係を客観的に考えてみてはいかがでしょうか。会社は、福利厚生などの規則で、あなたを守ってくれてはいませんか?本当に、あなたのことを捨て駒だとか、道具だとか、そういう目で見ていますか?

客観的に考えた結果、やはりブラックだという結論に至ったのであれば、それを我慢をする必要はありません。可能であれば、一刻も早く転職という道を考えるのが得策です。あなたに愛情をもって接してくれる会社は、他にもきっとたくさんあるはずです。

この記事を書いた背景

私の勤めている業界は、ここ数年はかなり苦しいです。同じ地域の同業会社の倒産も何度か目の当たりにしながら、それでも今期、会社側はギリギリのやりくりをして、賞与を支払ってくれました。賞与が出ないときもありましたが、その都度、経営環境や現在の状況や今後の方針などについて朝礼で話したりしてくれていました。私は、会社からの愛情を感じて、ありがたいことだなぁと思っていたんです。

ですが、先日若い子たちの間でブラックだの社蓄だのと自分が所属している会社を貶める発言を聞いて、驚いて、悲しくなってしまいました。仕事環境が厳しいのは、確かです。サービス残業だってあるから、完全に庇護されるべき状況ではないのかもしれません。でもあれだけちゃんと説明してくれて、私たちのために努力をしてくれている姿を表明してくれているのに、賞与だって、出してくれたのに。彼らには伝わっていなかったのかなぁ…。

私もついつい、twitterなんかで仕事の愚痴をこぼすこともあります。理不尽だなぁって思うことだってしょっちゅうありますw でも、トータルして考えれば、会社は、私たちの生活を守ることを考えてくれているし、やっぱり、私は自分の会社に愛情を感じます。自分の家族のためでもありますが、会社にも愛情をもって仕事をしたいと思います。

だから、この気持ちを、「社蓄」と言われてしまうと、なんだかとても悲しい気持ちになるんです。就職するとき、少なからず「この会社が好き」という気持ちを持って入社するものではないでしょうか?入社して、理想と現実のギャップに悩んで、好きという気持ちが消えてしまうんでしょうか?(やっぱり、結婚と似ていますねw)

…などと、偉そうなことを書きましたが、そういえば入社1年目の冬、先輩に「もっと会社に感謝の気持ちを持ったほうが良い」と言われたことがあるんですよね。それはつまり、私も当時は似たようなものだったのかな…恥ずかしい!!

非常に長々と、失礼いたしました。

ちょっと追記

この記事を書いて、数日経って自分で読み返してみて、ちょっとうーん、と思いました。

うん、押しつけはよくないな。私はどうやら、なんだかんだ不満もありながら、仕事が好きなんだろうな。好きだから、こんなことが言えるんだな。結婚は好きじゃなければしなければいいけど、仕事は嫌いでも生きてくために必要だもんな。

私は仕事が、会社が好きなのでこのような記事を書きましたが、どうなんでしょう?もしかして、私のような考え方の人間が多いから日本は欧米のようなビジネスライクな働き方ができないんでしょうか。終身雇用も保証も約束されていないこれからの時代、こんな考え方は身を滅ぼすのでしょうか…?

とはいえ、所属しているチームやボスを必要以上に貶めて良いという理由にはならないですよね。感謝の気持ちは忘れずに、不満があるなら自分なりの改善なり努力も必要だと思うのです。もしくは、早いとこ辞めてもっと良いところを探すべきなのでは。そう、思っています。

更に追記

こちらの記事を拝見して、とても共感しました。やっぱりわたしは仕事に「愛情」を持ちたいし、そうできるのは幸せなことだなぁ、と。

公開日:2012/12/10

2件のコメント

  1. すしぱく より:

    面白い記事でした!
    経営者の考え方を従業員に強要するとブラックになりますね。そう考えた上で家庭と照らし合わせるお話は面白かったです。(‘A’)

    • you より:

      すしぱくさんコメントありがとうございますー!
      妄想劇場のあたりから、私は一体何について書いてるんだ…?これ、伝わるのか…?と、ちょっと不安だったのでそう言って頂けて嬉しいですw 仕事も家庭も、自分で負の流れを変える努力は必要ですよね。


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