書道未経験の人に贈る、カリグラフィーとしての書道(和文字)の素敵さ

書道未経験の人に贈る、カリグラフィーとしての書道(和文字)の素敵さ

子供の頃、10年以上書道を習っていました。仕事でもPCを使う今の時代、手書きをする機会も減ってきていると思いますが、そんな時代だからこその毛筆文字の素晴らしさを、書道未経験の方にも伝わればいいなと思って書き起こしてみました。


学校の授業でみんなやったことはあると思う

「未経験の人に」と書いてしまいましたが、学校の授業とか書き初めの宿題とかあったと思うので、ほとんどの方が経験してると思います。でも、私の記憶する限り、授業では道具の使い方や片付け方などの基本的なことだけで、“具体的な文字の書き方”までは教えられないと思うんです。

というのも、墨を使う書道はやんちゃ盛りの子供たちに教えるのはとても大変。道具も多いし、片付けもきちんと処理しないと筆はすぐに使い物にならなくなってしまいます。授業での書道は、“ひととおり経験させておこう”という趣旨なんじゃないのかなー、と個人的には思っています。

そんなわけで今回は、本格的な書道経験のない方が、“なんか良くわかんないけど素敵かも”から、“こんな書き方をしてるからこんな風に素敵なんだ”ということを具体的に感じ取って頂けたらいいな、と思っています。宜しければおつきあいください。

蛇足:授業とかでは墨汁が一般的ですが、固形墨を硯(すずり)ですって書いたものは、色あいとか、艶とか、びっくりするほど深みが違います。すっている時に無心になる感覚が、文字を書く前の精神統一につながるのか!(*゚∀゚)=3ムッハーとか、勝手に思ってますw

そもそも、書道って?

書道(しょどう)または書(しょ)とは、書くことで文字の美を表そうとする東洋の造形芸術である。カリグラフィーの一種。中国が起源であるが、日本においては漢字から派生した仮名、ベトナムではチュノムなどが発明されると共にそれぞれ独自の書風が作られている。 –wikipedia

書道ってカリグラフィーの一種なんですね!(私も初めて知りました。)デザインを勉強する身、まして日本人ならば押さえておいても損はないはず。

サイトに英語表記を多用している私が言うのもなんですが、毛筆の文字はなんとも言えない美しさがあると思うんです。和風のWebサイトなどのロゴには手書きの毛筆文字がよく見受けられます。

和風 Webデザイン一覧 -S5-Style.com

和風のWebデザイン -ZZROCK

具体的にどんなところが魅力?

挙げたらキリがないとは思うのですが、

  • “入り”と“止め”で重厚感
  • “はね”と“はらい”で筆の流れが見える
  • “かすれ”でスピード感
  • 線を反らして安定感
  • 横方向は細め、縦方向は太めでメリハリ

などなど、筆一本の表現力がハンパないんです!しかも太筆、細筆を使い分ければ力強くも上品にも!

書道スタイル http://www.shodo-style.com/

基本については、こちらのサイトがとっても綺麗でわかりやすかったです!有名な書などによくある、“何て書いてあるのか一見分からない作品”も、基本を熟知した上であえて崩すという芸術なんだと思います。ピカソだって、10代の頃の作品は非常に写実的で、繊細なものでだったらしいですね。

実際の文字を見てみる

説明のために自前で用意したものですので、拙さは平にご容赦ください。

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“入り”は、フォントで言うところのセリフ・ウロコみたいなものです。線に対してちょっと突き出ます。線の書き始めもそうですが鋭角に曲がる場所にも現れます。“止め”も突き出ますが、“入り”に比べてちょっとまるみを帯びるのが特徴でしょうか。“入り”で力を込め、力を抜いて線を引き、また力を込めて“止め”る、という強弱強のリズムがあります。

“反り”は、中心より外側にある横線に顕著に現れ、一般的には“入り”と“止め”が外側向きで反っているのが安定感につながるようです。縦線にはあまりみられないですね。

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にすいから、3画目の点まで筆先の流れが感じられる気がしませんか?“はね”や“はらい”が多い文字なので、先程の「雲」よりもスピード感や躍動感が感じられます。

筆は360°使える

漢字は、左から右、上から下という線が多いですが、ひらがなは一筆で下から丸を書くような形のものが結構あります。そんなとき、筆の向きは一定ではなく、その都度進行方向を向き直ったりします。結構柔軟に動かすものなんです。

そう、まるで格闘ゲームのジョイスティックのように!

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伝わるかな、これw

「かえし」が美しい

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線を引きながら筆の方向を変えることを“かえし”と言いますが、“かえし”を行なった部分はくびれが出来ます。場所によってくびれの形や大きさは様々になるんですが、またそのくびれが美しい!「の」という字は一画なのにすごく“かえし”が多い文字なんです。

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こんなに頻繁に“かえし”を行なっているわけです。「の」、スゲー!!ってなりませんか?w

一筆書きの表現力

先程の「の」もそうなんですが、もうひとつ私の好きな文字(というか部首)を。

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「しんにょう」です。

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1点打った後、“かえし”と“入り”が一緒になったような、最初は中くらいに“入れ”て、小さめに3回“かえし”て、大きく“入れ”て、最後に大胆に“はらう”、みたいな。もううっとりするような綺麗なつくりをしています。

一筆書きで文字にここまでの表情を出せるというところに痺れる(*゚∀゚)=3ムッハー!!という気持ちが、ちょっとでも伝われば…いいんですが…。。

プロの文字の美しさ

では、今までのことをちょっと頭の片隅に残しつつ、プロの作品をご覧ください。

書道家 紫舟 http://www.e-sisyu.com/

書道家 武田双龍 http://so-ryu.com/

書道家 木下秀翠 http://kinoshitamariko.com/

敬称をなんと書けば正しいのか判断しかねたため、あえて敬称略とさせて頂きました。失礼などございましたらご指摘くださると有難いです。

いかがでしょう、“なんか良くわかんないけど素敵かも”よりは、具体的に作品の凄さ、美しさに触れることができたら嬉しいです!

最後に

書道というものは非常に奥が深くて、いろんな流派や流儀が存在するようですので、この記事内容はあくまで素人の個人的な見解と受け止めて頂けると有り難いです。

筆で書いた文字の素晴らしさを、いろんな人に感じて頂ければ嬉しいなと思います。

公開日:2012/05/11
更新日:2014/05/02

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